「子どもが大きくなって部屋が足りない」「親と一緒に暮らせるようにしたい」「在宅で仕事をする場所がほしい」。
こうした事情で増築(建て増し)を考え始めたとき、次の2つが分からずに止まってしまうことがあります。いくらかかるのか。そして、そもそも自分の家でできるのか。
この記事では、松戸市で増築を検討されている方に向けて、費用が大きく変わる3つの理由と、確認申請が必要かどうかの判断をまとめました。判断に必要な部分は、実際に当社が松戸市で施工した増築工事の写真とあわせて説明します。
なお、この記事で扱うのはすでにある建物に部屋を足す増築(同一棟)です。庭に離れや小屋を建てる場合は判断する項目が変わるので、別の記事にまとめています。
まず、最初に確認すべき3つのこと
増築の相談をいただいたとき、当社が最初に確認するのはこの3つです。このうちどれかが引っかかると、計画そのものを変える必要が出てきます。
1つ目は、敷地に余力があるかです。 建物を建てられる面積には上限があります(建ぺい率・容積率)。すでに上限に近い家では、増築できる広さが限られます。
2つ目は、既存部分の状態です。 増築は新しい部分を建てるだけの工事ではありません。いまある建物とつなぐ工事です。だから、いまある建物の状態が費用と工期を左右します。この記事の中心はここです。
3つ目は、確認申請が必要かどうかです。 必要な場合は、申請と審査の期間が工期に加わります。手続きの費用もかかります。
順番としては、1と2を確認しながら計画を立て、3で手続きを確認する流れになります。この記事では2と3を詳しく説明します。
増築の費用が変わる3つの理由
「6畳を足すのにいくらか」と聞かれたとき、同じ6畳でも金額が変わります。 その理由は、増築が「新しい部屋を建てる工事」ではなく、「いまある建物に新しい部分をつなぐ工事」だからです。
広さ別の費用の目安や、本体工事以外にかかるもの(登記、固定資産税など)は別の記事にまとめているので、そちらをご覧ください。ここでは何によって金額が変わるのかを説明します。
以下の写真は、2019年に松戸市で当社が施工したH様邸の増築工事です。


「いずれお母様と一緒に暮らせるお部屋を増築したい」というご相談から始まった工事で、庭の部分に部屋を増築されました。
理由1:基礎を、いまある建物に合わせる必要があります
増築部分にも基礎が必要です。ここで新築と違うのは、いまある建物の基礎に合わせなければならないという点です。
H様邸では、既存の住宅が道路より高い位置に基礎があったため、増築部分の基礎の一部が「深基礎」になりました。 通常より深く掘って基礎を作る工法です。
当社の現場担当はこう書いています。
増築の基礎工事は新築に比べ面積は少なくても内容は同じです。しかし、既存住宅と高さを合わせたり、場所が狭かったりと大変な事もあります。
面積が小さいから安い、とはならないのがこの工事の特徴です。そして、いまある建物と地面の関係によって、必要な基礎工事が変わります。同じ広さでも、ここで差が出ます。
さらにH様邸では、庭に増築するため庭の掘削と、既存のフェンス・ブロックの解体も必要でした。増築する場所に何があるかによって、準備の工事が増えます。
(工事の詳細:松戸市 H様邸 増築・外構リフォーム工事① 解体・基礎工事)
理由2:新しい構造を、いまある構造につなぎます
基礎ができたら、柱と梁を組む工程に入ります。建方(たてかた)と呼ばれる作業です。
H様邸では3名の大工が入り、柱や梁の「ほぞ」を「ほぞ穴」に組み合わせて骨組みを作りました。1日で増築部分の骨組みができあがっています。
ここで費用に影響するのは、いまある建物とどうつなぐかです。
新しい部分だけを独立して建てるのではなく、いまある建物と一体になるように接合します。 そのため、いまある建物の構造を確認する必要があり、場合によってはいまある部分の補強が必要になります。
この補強が必要かどうかで、同じ広さでも金額が変わります。 必要かどうかは、建物の構造・築年数・図面の有無によって決まるので、現地を見ないと判断できません。 ここが「見積もりを取るまで金額が確定しない」いちばん大きな理由です。
(工事の詳細:松戸市 H様邸 増築・外構リフォーム工事② 建方)
理由3:屋根と外壁の「取り合い」で仕上がりが決まります
骨組みができたら、屋根と外壁の工事に入ります。増築でいちばん差が出るのがここです。
新しい屋根といまある屋根、新しい外壁といまある外壁が接する部分を「取り合い」と呼びます。ここは雨水が入りやすい場所なので、防水の処理が重要になります。
H様邸では、外壁材の下に透湿防水シートを貼りました。外からの水の侵入を防ぐ「防水効果」と、室内の湿気を逃がして内部結露を防ぐ「透湿効果」を持つシートです。
そしてH様邸には、費用面で有利な条件がありました。
H様は5年程前に新築されました。外壁材が既存と同じものがありましたので、増築とは思えない仕上がりになりました。
いまある外壁と同じ材料が手に入るかどうかが、仕上がりと費用に影響します。同じ材料がない場合は、色や質感を近づける工夫が必要になり、その分の手間がかかります。築年数が経っている家ほど、同じ材料が入手しにくくなります。
(工事の詳細:松戸市 H様邸 増築・外構リフォーム工事③ 屋根・外壁工事)
増築に付随して発生する工事もあります
増築部分の工事だけで終わらないことがあります。H様邸では、増築に合わせていまあるリビングの間仕切りを撤去されました。
その結果、リビングの床に間仕切りの柱の跡が残りました。 ここは補修(リペア)の専門業者が対応しています。
同じフローリング材が無い場合など、交換するより不具合のみを直す方がコストの軽減可能なリペア(補修)
増築をきっかけに、いまある部分に手を入れる必要が出てくることがあります。逆に言えば、同時にやったほうが安く済む工事でもあります。見積もりの段階で、増築と一緒にやっておきたいことを相談されるとよいと思います。
H様邸では最終的に、芝生の庭だった部分に増築したうえで駐車場を1台増設されました。増築で庭が狭くなるぶん、外構も一緒に計画されたかたちです。
確認申請は必要か — 面積の判断と、工事内容の判断
ここからは2026年8月時点の制度についての説明です。 前の章の工事事例は2019年のものですが、以下は現在の法令の話です。
増築で確認申請が必要かどうかは、2つの入口から判断します。
- 増築する面積による判断
- 工事の内容による判断
この2つは別々の判断です。 面積の判断で「不要」だった場合も、工事の内容によって申請が必要になることがあります。順に見ていきます。
なお、以下は一般的な考え方です。 実際に必要かどうかは、敷地の条件(地域の指定、建ぺい率・容積率の残り、道路との関係)によって変わります。判断はご自身でされず、必ず事前に確認してください。 確認の方法は後の節でご案内します。
3-1. 面積の判断:10㎡以下なら、原則として申請は不要です
増築する面積が10㎡以下であれば、確認申請は原則として不要です。 6畳(約10㎡)の増築であれば、この範囲に収まります。
ただし、防火地域・準防火地域に指定されている場所では、面積によらず確認申請が必要です。 10㎡以下でも必要になります。
つまり面積による判断は、こうなります。
- 10㎡以下 かつ 防火地域・準防火地域ではない → 原則として申請は不要
- 10㎡を超える → 申請が必要
- 防火地域・準防火地域である → 面積によらず申請が必要
まず自分の敷地がどの指定になっているかを確認するのが、最初の一歩です。 調べ方は3-3でご説明します。
なお、増築と改築では手続きの扱いが変わります。その違いについては別の記事にまとめています。
3-2. 工事内容の判断:2025年4月から、確認する項目が増えました
面積の判断で「不要」だった場合も、もう一つ見る場所があります。
2025年4月に建築基準法の改正が施行されました。いわゆる4号特例の縮小です。従来の4号建築物という区分が廃止され、木造2階建ては「新2号建築物」となって、審査省略の対象から外れました。
改正後は、平家かつ延べ面積200㎡以下の建築物以外は、構造によらず構造規定などの審査が必要になっています。また、階数2以上または延べ面積200㎡超の建築物は、構造によらず建築確認の対象です。
ここで大事なのは、何が変わって何が変わっていないかです。
- 変わっていないこと:10㎡以下の増築の免除規定(防火・準防火地域外の場合)。これは改正後も有効です
- 変わったこと:大規模な修繕・模様替の側です。国土交通省の資料には「木造戸建の大規模なリフォームは建築確認手続きが必要になります」と明記されています
つまり、増築の面積とは別の理由で申請が必要になる場合があるということです。
増築の工事に、いまある部分の構造の補強や、大規模な改修が伴う場合——たとえば増築のために既存部分の柱や梁に手を入れる、屋根の大部分を作り直すといった工事です。この場合、増築する面積が10㎡以下でも、工事の内容を理由に確認申請の対象になり得ます。
「10㎡以下だから申請は要らない」で判断を終えないでください。 面積の判断を通過したあとに、工事の内容を見る必要があります。そしてこれは、どういう工事になるかが決まらないと判断できません。 計画の段階でリフォーム会社に確認してください。
3-3. 松戸市で、自分の敷地の地域指定を調べる手順
防火地域・準防火地域に指定されているかどうかは、松戸市で確認できます。
方法は2つあります。
1つ目は、松戸市の地図情報サービスで調べる方法です。 松戸市は「やさシティマップ(松戸市地図情報提供サービス)」で都市計画情報を公開しています。住所から用途地域や防火地域・準防火地域の指定を確認できます。市のウェブサイトの「都市計画情報のインターネット提供サービス」のページから入れます。
2つ目は、市の担当課に問い合わせる方法です。 松戸市の街づくり部 都市計画課(047-366-7372)が窓口です。住所を伝えれば指定を確認してもらえます。建ぺい率や容積率の上限も同時に確認できるので、増築を検討している段階ではこちらが確実です。
当社にご相談いただく場合は、この確認も含めてこちらで行います。 住所が分かれば調べられるので、お客様が手続きをされる必要はありません。
3-4. 松戸市に払う確認申請の手数料
確認申請にかかる費用は、2種類に分かれます。 ここは混同されやすいところです。
- 市に払う手数料 … 申請と検査に対して行政に納める費用
- 設計・申請図書の作成にかかる費用 … 図面や書類を作る作業に対する費用。リフォーム会社や設計事務所に依頼する部分です
当社の別記事で「申請の依頼に20万円前後」と書いているのは、後者(作成の代行費用)です。 市に払う手数料そのものではありません。
松戸市に直接申請する場合の手数料は、次のとおりです(2026年8月時点)。
| 申請 | 30㎡以内 | 30㎡超100㎡以内 |
|---|---|---|
| 確認申請 | 15,000円 | 26,000円 |
| 完了検査(中間検査なしの場合) | 27,000円 | 33,000円 |
6畳(約10㎡)の増築であれば30㎡以内に収まるので、確認申請15,000円+完了検査27,000円=42,000円が目安になります。
ただし、指定確認検査機関に申請する場合は、機関ごとの料金体系になります。 上の表は松戸市に直接申請する場合の金額です。
なお上の42,000円は、中間検査がない場合の金額です。 工事の内容によって中間検査が必要になる場合は、その申請の手数料が別途かかります。
この内訳を知っておくと、見積書を読めるようになります。 「確認申請費用」という項目に何が含まれているのか——市への手数料だけなのか、図面の作成まで含むのか——を確認できるからです。書類を作る作業には手間がかかるので、その費用が必要なこと自体は当然です。 内訳が分かれば、金額の妥当性を判断できます。
(出典:松戸市 確認申請等手数料。令和7年4月1日改定。金額は2026年8月時点のものです)
増築に補助金は使えるのか
結論から申し上げると、増築そのものに使える松戸市の補助金は見当たりません。
松戸市には住宅リフォームに関する助成制度がありますが、耐震改修を主な目的とした制度です。増築を目的とした工事に対して交付されるものではありません。
ただし、増築と同時に耐震改修を行う場合は、耐震改修の部分が対象になる可能性があります。 3-2でご説明したとおり、増築の工事にいまある部分の構造の補強が伴うことがあります。その内容が制度の要件に合えば、検討の余地があります。
松戸市の耐震リフォームに使える補助金については、別の記事にまとめているのでそちらをご覧ください。申請には要件と期限があり、工事の契約前に手続きが必要な場合があります。 制度を利用される場合は、計画の段階でご相談ください。
なお、制度の内容は年度ごとに変わります。 上記は2026年8月時点の状況です。最新の要件は市の窓口でご確認ください。
松戸市で増築を依頼するときに確認すべきこと
見積もりを取る段階で、確認しておくと後の手戻りが減る点を挙げます。
いまある建物の図面があるか
図面があると、判断が早くなります。 いまある建物の構造が分かるので、接合の方法や補強の必要性を検討しやすくなります。
図面がない場合も増築はできます。 ただし、現地の調査で構造を確認する作業が増えるため、その分の時間がかかります。新築時の図面が残っているかどうか、探してみてください。
確認申請の要否を、契約前に確認してもらえるか
3-2でご説明したとおり、確認申請の要否は工事の内容が決まらないと判断できません。
契約前の段階で、申請が必要になる可能性があるかを確認してくれる会社を選んでください。 申請が必要な場合、審査の期間が工期に加わります。あとから判明すると、工程が大きく動きます。
工事中の住まい方
増築は、いまある建物とつなぐ工事です。そのため工事中の生活に影響が出ます。
H様邸のように既存部分の間仕切りを撤去する工事が入る場合は、その部屋が一時的に使えなくなります。屋根や外壁の取り合いの工事では、足場を組む期間もあります。
どの期間にどこが使えなくなるかを、工程表で確認してください。 仮住まいが必要かどうかも、この段階で分かります。
この工事の全工程を見る
この記事でご紹介したH様邸の増築工事は、全5回にわたって工程を記録しています。 増築がどう進むのかを、基礎から完成まで順に見ていただけます。
実際の工事の流れをご覧いただくと、打ち合わせのときに何を決める必要があるのかが分かります。(2019年に松戸市で施工した工事です)
まとめ
松戸市で増築を検討されている方に向けて、費用と確認申請についてご説明しました。
費用について。増築は「新しい部屋を建てる工事」ではなく「いまある建物につなぐ工事」です。だから、いまある建物の状態によって同じ広さでも金額が変わります。 基礎の合わせ方、構造の補強の必要性、外壁材が同じものが手に入るか——これらは現地を見ないと判断できません。
確認申請について。判断する入口は2つあります。面積による判断(10㎡以下かつ防火・準防火地域外なら原則不要)と、工事の内容による判断(2025年4月の改正で、この項目が増えました)。面積の判断だけで結論を出さないでください。
手続きの費用について。市に払う手数料(30㎡以内なら42,000円が目安)と、図面や書類を作る費用は別のものです。見積書の「確認申請費用」に何が含まれているかを確認してください。
そして、この記事の説明はすべて一般的な考え方です。ご自身の家で何ができるか、申請が必要かどうかは、敷地と建物を見ないと判断できません。
松戸市で増築をお考えなら、まずご相談ください
株式会社大功は、松戸市を中心に地域密着でリフォームと建築を手がけてきました。増築の実績も、この記事でご紹介したH様邸をはじめ多数あります。
ご相談いただければ、次のことをこちらで確認します。
- 敷地の地域指定(防火地域・準防火地域)と、建ぺい率・容積率の残り
- いまある建物の状態と、増築できる範囲
- 確認申請が必要になるかどうか
- 概算の費用と、工期の見通し
「まだ決めていないが、できるかどうかを知りたい」という段階でも構いません。 調べた結果、増築より別の方法が向いている場合は、そのようにお伝えします。
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よくある質問
松戸市で増築するとき、確認申請は必要ですか?
判断する入口が2つあります。増築する面積による判断と、工事の内容による判断です。面積については、10㎡以下かつ防火地域・準防火地域ではない場合、原則として申請は不要です。ただし工事にいまある部分の構造の補強や大規模な改修が伴う場合は、面積とは別の理由で申請の対象になり得ます。敷地の条件によって変わるため、計画の段階でご確認ください。
10㎡以下なら確認申請は不要ですか?
はい、原則として不要です。 増築する面積が10㎡以下で、かつ敷地が防火地域・準防火地域に指定されていない場合、確認申請は必要ありません。この規定は2025年4月の法改正後も有効です。ただし2点ご注意ください。 防火地域・準防火地域では面積によらず申請が必要です。また、増築の工事にいまある部分の大規模な改修が伴う場合は、増築の面積とは別の理由で申請の対象になり得ます。
2025年の法改正で何が変わりましたか?
確認が必要な項目が増えました。 いわゆる4号特例が縮小され、従来の4号建築物という区分が廃止されて、木造2階建ては審査省略の対象から外れました。改正の影響が及ぶのは大規模な修繕・模様替の側で、国土交通省は「木造戸建の大規模なリフォームは建築確認手続きが必要になります」としています。10㎡以下の増築の免除規定は改正後も維持されています。 増築の面積による判断はそのままで、工事の内容による判断が加わったかたちです。
増築の費用が高くなるのはどんな場合ですか?
いまある建物との関係で決まります。 主な要因は3つです。①いまある建物の基礎に合わせるために、通常より深い基礎(深基礎)などが必要になる場合 ②いまある部分の構造の補強が必要な場合 ③いまある外壁と同じ材料が入手できず、仕上げに手間がかかる場合。築年数が経っている家ほど、同じ外壁材が入手しにくくなります。 また増築をきっかけに、いまある部分の補修が必要になることもあります。広さ別の費用の目安は別の記事にまとめています。
松戸市に増築で使える補助金はありますか?
増築そのものを対象とした松戸市の補助金は見当たりません。 松戸市の住宅リフォーム関連の助成制度は、耐震改修を主な目的としたものです。ただし増築と同時に耐震改修を行う場合、その部分が対象になる可能性があります。制度の内容は年度ごとに変わり、申請には要件と期限があります。 工事の契約前に手続きが必要な場合があるので、利用を検討される場合は計画の段階でご相談ください(2026年8月時点の状況です)。







