こんにちは。愉くらしリフォームの大功です。
先日11月16日の日本経済新聞に、悪質リフォーム業者によるトラブルが増えているという記事が掲載されていました。
記事によると、
- 「家屋の点検を無料で行なっている」と高齢者らの自宅を訪れ、不要な工事を契約させる点検商法のトラブルが増えている。
- 2021年4月~9月の相談件数は全国で3,074件と前年同期より14%も増えている。
昨年春頃から被害が目立っており、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「自宅時間」の増加も狙われやすい背景となっている。という内容でした。
以前、当ブログにて弊社社員の自宅を訪れた悪質リフォーム業者の手口についての記事を掲載したことがありましたが、相変わらずこのような悪質業者による被害は後を絶たないようです。
高齢者を狙う後を絶たない悪徳リフォーム~弊社社員の実家にやってきた悪徳業者の手口~
そこで今回は、悪質リフォーム業者と不要な工事契約をしてしまった場合の対応方法、解決策についてご案内したいと思います。
もちろん、法律に則った適正な手続きで、誰でも簡単にできるものですので、参考になればと思います。
目次
悪質リフォーム業者との不要な工事契約を解除するには?
早速ですが、本題から解説していきたいと思います。
もしも、訪問販売による悪質なリフォーム業者と工事契約をしてしまった場合、その契約を解除することはできるのでしょうか?
答えは「イエス」です。
訪問販売の場合は、クーリングオフ制度が使える
クーリングオフ。なんとなく聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。
どういったものかというと、訪問販売で契約をしてしまった場合、申込日(契約日)を含めて8日以内であれば無条件で契約を解除することができるという制度です。また、すでに支払った金銭がある場合は、無条件に返金してもらうことができる。というものです。
つまり、クーリングオフをすることで、悪質リフォーム業者との工事契約を無効にすることができるのです。
まず、ここでのポイントは「無効になる」ということで、つまり契約自体が存在しなかったということになるので、原則としては解約による違約金やキャンセル料、あるいは業者側への損害賠償自体も存在しないということになります。
では、クーリングオフとはどのような制度なのでしょうか?
クーリングオフ制度とは
突然の訪問や電話などでセールスを受けて、その場の雰囲気で業者側に押されてしまい、考える時間も無いままに契約をしてしまった・・・。
後になって冷静に考えてみた時に、一定期間内であればその契約を無条件で解除することができる制度。それがクーリングオフ制度です。
この制度は、消費者を守るための特定商取引法(以下、特商法)や、その他の法律で定められたもので、訪問販売や連鎖販売取引などの取引形態に対して適用されています。どのような取引にどのように適用されるのかという、各詳細については割愛しますが、訪問販売の場合は、以下のように定められています。
取引形態 | 内容 | 期間 | 根拠法・条項 |
訪問販売 | 事業者が消費者の自宅に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引。キャッチセールス、アポイントメントセールスも含む | 契約日から起算して8日間 | 特商法第9条 |
また、契約書面にはクーリングオフの事項について赤枠の中に赤文字で必ず記載する必要があり、更にはその書面の文字サイズは8ポイント以上(官報の文字サイズ)と定められています。なお、契約書面にこの内容が記載されていない場合は、クーリングオフ期間は契約日から8日間ではなく無期限となります。
テレアポや突然の訪問で、家屋の点検などを持ちかけて工事契約をするリフォーム業者の場合は、ほとんどがこの「訪問販売」に該当します。もしも、その場の雰囲気で押されてしまい契約してしまったとしても、クーリングオフを行うことで契約を解除することができるので、慌てずに対応することが大切です。
※内部リンク(クーリングオフの手続き方法へ)
クーリングオフの効力とは
クーリングオフをすることで以下の効力が発生します。
- 契約自体が無効(なかったこと)になる。
- 頭金や手付金など、すでに支払った代金がある場合、全額返金される。
- 工事によって状態が変わっている場合は、業者側の費用負担にて元の状態に戻せる。
- 契約解除に対する、損害賠償や違約金を支払う必要は無い。
クーリングオフが適用されない除外例も
ただし、次のような場合は訪問販売でもクーリングオフが適用されません。
- クーリングオフ期間が過ぎた場合
ただし、契約書面の不備や、業者によるクーリングオフの妨害があった場合は、8日間を過ぎてもクーリングオフが可能です。 - 営業や仕事用のために契約した場合
消費者取引になるので、商取引には適用されません。 - 代金が3,000円未満の現金取引
などです。上記以外にもクーリングオフができない場合があるので、詳しくは各都道府県の消費生活センター等にご相談していただくこともおすすめいたします。
(全国の消費生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/index.html)
クーリングオフの手続き方法と手続きの際の注意点
それでは、クーリングオフ制度を使うには、どのような手続きが必要化を説明します。
特に難しいことは無いのですが、以下の点に気をつけていただければと思います。
- 必ずハガキなどの書面で通知すること(電話やメールではダメです!)。
- 工事契約と併せてクレジット契約をしている場合は、業者だけでなくクレジット会社にも書面を送付すること。
- 書面は簡易書留や配達証明、または内容証明で送付すること。
- 送った証拠を残すために、書面は必ずコピーをして、郵便窓口で渡される受領書(控え)と一緒に保管しておくこと。
クーリングオフ書面の書き方
クーリングオフを伝える書面は、ハガキで以下のように書きます。
クーリングオフの手続きなどに不安がある場合は
もしも、クーリングオフの手続き等について不安がある場合は、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談の上、書面作成などを依頼することもできます。
クーリングオフを業者が妨害してきたら
クーリングオフを妨害すること自体が違法となりますが、そもそも訪問販売で強引に契約をさせる業者ですから、中には「そんなのは関係ない」とばかりに、
- 「うちはクーリングオフはできません(受け付けていません)」と突っぱねる業者
- 再度訪問等をしてクーリングオフの取り消しを迫る業者
- 受理したと言いながらクーリングオフ完了まで○ヶ月かかるという業者
- 脅してくる業者
なども存在します。
こういった形でクーリングオフを妨害してきた場合は、毅然とした対応をすることにつきますが、弁護士などに依頼して処理を進めてもらうほうがよい場合もあります。
まとめ
もしも、ご自身やご家族が訪問販売等の悪質リフォーム業者と思いがけず契約をしてしまった場合は、この記事での解説のようにクーリングオフ制度を利用することで契約の解除をすることが可能です。
また、各地の消費生活センターなどでも、クーリングオフの方法についての相談や、クーリングオフを妨害された場合などの相談なども受けてもらえるので、まずは慌てずにやれることをやっていくことが大切です。