「マンションのキッチンをリフォームしたいけど、なにからはじめればいいの?」
そんな悩みをお持ちの方は少なくありません。キッチンのリフォームは、古くなったキッチン設備を更新するだけでなく、毎日の家事を今までよりも快適にする機会でもあります。しかし、費用の目安やリフォーム方法の選択肢、マンションならではの制約など、事前に知っておきたいポイントも多くあります。
この記事では、マンションにお住まいの方がキッチンリフォームを成功させるために役立つ情報を、具体的な事例や注意点を交えて詳しく解説します。リフォームを検討中の方にとって、理想のキッチン空間づくりの参考になれば幸いです。
目次
マンションでキッチンリフォームを検討するタイミングは?
きっかけ①「キッチン設備の老朽化」
マンションにお住まいの方に限らず、キッチンリフォームを検討する理由として、最も多いのが「設備の老朽化」です。長年使用していると、レンジフード(換気扇)やコンロ、食洗機、水栓など、各種設備機器の故障や不具合が発生してきます。また、キッチン自体の傷みや破損など、普段使いに影響を与えるトラブルが次第に増えてきます。特に、新築あるいは前回のリフォームから15年~20年ほどでこれらのトラブルが目立つようになってきます。
きっかけ②「購入した中古マンションのキッチンを変えたい」
中古マンションを購入し、入居前にキッチンを新しくしたいというお問い合わせ・ご相談も多いです。この場合は、きっかけ①と同じように設備の老朽化しているためというのもありますが、それほど老朽化していない場合でも、「自分の気に入ったキッチンにしたい」という理由や、「間取り変更などのリノベーションに合わせて」というケースも少なくありません。
キッチンのリフォームを考え始めるタイミングは人それぞれですが、愉くらしリフォームの大功でご相談いただくケースとしては、上記の2つがほとんどで、設備の不具合が目立ってきたり、や掃除しても落ちない汚れなどが目立ってくる時期、つまり、新築時や前回の更新から15年~20年経過しているケースがタイミングとしては多いと言えます。
「プラスアルファ」の要素も考える人が多い
リフォームのタイミングでお伝えしたように、キッチン設備の老朽化がリフォーム検討の理由ですが、その際に、「せっかくリフォームするのだから」ということで、プラスアルファの要素を考える方が多いと言えます。ただキッチンを交換するだけでなく、
- これまでの「不満点を解消」したい
- これまでよりも「使い勝手を良く」したい
- 掃除やお手入れを楽にしたい
- よりデザイン好みを重視したい
というように、考えていらっしゃる方も多いです。
キッチンの収納不足の解消・収納スペースの使いやすさも考えてみる
普段使う調理器具や食器類、調味料などの収納スペースの使いやすさや収納力などが改善されるだけでも、食事の準備などは格段にやりやすくなります。
たとえば、20年以上前のキッチンでは、使い勝手が悪く普段はあまり使わない調理器具などを収納するだけだった吊戸棚なども、最新のキッチンでは各社ともに収納力や収納スペースの使いやすさに工夫を凝らしたものなども多くあります。たとえば、オプションになりますが、タカラスタンダードのアイラックは、吊戸棚の下に設置して、使うときには目の高さまで引き降ろせるので、引出しの中全体が見えるため、どこに何があるかスグに分かります。
キッチンの掃除やお手入れの楽さを考えてみる
キッチンは毎日お料理をする場所ですから、いつもきれいに衛生的に保っておきたいと考えると、やはりお掃除やお手入れの楽さは、できるだけ考えておきたいポイントではないでしょうか?汚れが付きにくいシンクや、傷や汚れが付きにくいワークトップなどは、日々のお手入れを楽にしてくれます。また、揚げ物メニューが多いご家庭では、お手入れが楽なレンジフードの採用なども検討してみると良いかもしれません。
頻繁におこなうリフォームではないからこそ、キッチンを交換するだけでなく、より使いやすく、より家事が楽にするためには?という視点も大切にしたいですね。
マンションで可能なキッチンリフォームの選択肢は?
マンションでのキッチンリフォームには、現在のレイアウトを活かしたリフォーム方法から、大幅なレイアウト変更を伴うリフォーム(リノベーション)まで、さまざまな選択肢があり、その点では戸建てでのキッチンリフォームと大きく変わらないといえますが、ここでは、それぞれのリフォーム方法の特徴やメリット、注意点について触れていきたいと思います。ご予算やライフスタイルに合わせて、最適なリフォームプランを見つけるヒントにしてください。
キッチンのレイアウトを維持してリフォームする場合
現在のキッチンレイアウトをそのまま活かして、キッチン設備を更新するリフォームは、レイアウト変更に伴う工事が不要なため、比較的低予算で実現可能です。また、大掛かりな工事が発生しないので、マンション特有の制約(管理規約による制約)を受けにくいのも魅力です。
メリット
- 給排水やガスの配管、電気設備を変更する必要がないため、工期とコストを押さえやすい
- 今のレイアウトに慣れている場合、リフォーム後に「使いにくさ」を感じにくい
キッチンのレイアウトを変更してリフォームする場合
キッチンのレイアウトを壁付キッチンから対面式やペニンシュラ型に変更することで、キッチン空間の使い勝手が大きく変わります。キッチンをリビングやダイニングに向けて配置することで、お子様の様子を伺いながら調理したり、家族とのコミュニケーションがしやすくなります。
メリット
- 調理中でもお子様の様子などを確認しやすい
- 視覚的な広がりが生まれ、部屋全体が明るく感じられる
注意点
- 給排水やガスの配管などの移設が必要になる。また、キッチン本体だけでなく、壁や床のリフォームが発生するため費用や工期が増える
大幅にレイアウトを変更する場合
キッチンだけではなく、リビングやダイニング、場合によってはその他の居室を含め空間全体のレイアウトを変更することで、これまでとは全く違った住空間に作り変えるといったケースです。ほぼスケルトン状態にして工事を進めていきますが、マンションによっては壊すことができない壁などもあるので、その点は注意が必要です。
メリット
- 既存の間取りやキッチンレイアウトにとらわれないリフォームができる
- 理想的な住空間を作ることができる
注意点
- 大掛かりな工事になるため費用、工期ともにかかる
- 工事期間中住むことができない場合は、仮住まいの費用も
マンションのキッチンリフォーム 費用はどれくらい?
それでは、キッチンリフォームの費用は実際にどれくらいかかるのでしょうか?これはリフォームの内容によって大きく異なってきますが、キッチンリフォームの費用は主に以下の3つの要素によって決まります。
キッチン設備本体の費用
導入するキッチン設備のグレードによって費用が決まってきます。メーカーによって差はありますが、目安としてはスタンダードモデルのキッチンでは50万円前後~。ハイグレードモデルのキッチンの場合は100万円以上になります。たとえば、パナソニックのキッチンでは場合は以下のグレードがあり、Vスタイルがスタンダードモデル、Lクラスはハイグレードモデルとなります。
出典:パナソニックキッチン
出典:パナソニックキッチン
出典:パナソニックキッチン
オプション設備の費用
キッチン本体の標準装備とは別に、オプションで設定されている設備を選択する場合は当然発生します。オプション設定されている設備は本当に「あると便利」なものも多いのですが、あれもこれもと選んでしまうと、費用を押し上げる要因となります。普段の生活スタイルなども考慮しながら「必要なもの」に絞って選ぶようにすることがポイントです。
工事費用
キッチン本体設備交換のみであれば基本的な工事費用だけで抑えられる可能性もありますが、キッチンレイアウト変更を伴う場合は、配管や配線の工事や床や壁の工事が発生します。また、本体設備の交換のみの場合でも、長年の使用で壁や床が劣化している場合は交換が必要となるケースもあります。
その他の要素
マンションのリフォームの際には、必ず管理規約に則り進める必要があります。たとえば、床材に関しても、防音性能などが定められており、その基準を満たす資材を使用する必要があるため、費用に影響してくることもあります。
マンションのリフォームで注意すべきポイント
マンションでのキッチンリフォームには、一戸建てにはない独自の制約があります。管理規約の確認や近隣住民への配慮など、事前に知っておくべきポイントを押さえることで、トラブルを未然に防ぐことができます。このセクションでは、マンション特有のリフォームにおける注意点を詳しく解説します。
マンション管理規約の確認
マンションでは、リフォームを行う際に管理規約の確認が必須です。規約に違反すると工事が中止になるだけでなく、近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあります。
- 確認すべきポイント:
- 工事時間の制限
平日の日中に限るなど、作業可能な時間帯が明確に定められていることが一般的です。 - 床材や配管に関する規定
防音性能を備えた床材の使用が義務付けられている場合や、共用部分の配管に関する制限がある場合があります。 - 事前の届け出
工事開始前に管理組合への届け出や、近隣住民への挨拶が必要なことが多いです。
- 工事時間の制限
- 対策:
- 施工業者とともに規約を事前に確認し、計画に反映させる。
- 必要な書類を迅速に提出し、スムーズな進行を目指す。
配管や電力設備の制約
マンションのキッチンリフォームでは、配管や電力設備の位置が制約となることがよくあります。特にレイアウト変更を伴うリフォームでは、これらの制約をクリアする設計が必要です。
- 配管の問題:
- キッチンを移動する場合、排水管や給水管の位置により希望のレイアウトが実現できないことがあります。
- 排水管の勾配(傾斜)を確保する必要があるため、大幅な移設には追加工事が発生します。
- 電力設備の問題:
- 古いマンションでは、IHクッキングヒーターや食洗機の導入に必要な電力容量が不足している場合があります。
- 電力容量を増やすには、電気工事が必要になることも。
- 対策:
- 事前に現地調査を行い、配管や電力設備の現状を把握。
- 必要に応じて設計を調整し、現実的なプランを立てる。
マンション住民への配慮
マンションでは特に、リフォーム中の騒音や作業員の出入りによる迷惑を最小限に抑えることが重要です。近隣住民との良好な関係を保つためには、事前の配慮が欠かせません。
- 注意点:
- 騒音問題
工事中の騒音が発生する可能性が高いため、作業時間帯の制限を守ることが必須。 - 作業員の出入り
エレベーターや共用廊下の使用について、住民の負担にならないよう配慮が必要です。
- 騒音問題
- 対策:
- 工事開始前に、近隣住民にリフォーム計画を知らせる挨拶を行う。
- 作業が長引きそうな場合は、進捗状況を適宜共有する。
リフォーム業者の選び方と契約の注意点
キッチンのリフォームは費用的にも大きなリフォームの一つです。ですから、リフォーム計画から工事完了までの流れをしっかり把握することは失敗しないための大切なポイントです。ここでは、リフォーム業者の選び方や工事中の生活の工夫、工事後のチェックポイントについて詳しく解説します。
リフォーム業者の選び方
言うまでもなく、「信頼できるリフォーム業者を選ぶこと」が、満足のいくリフォームを実現するための第一歩です。以下のポイントを参考にして、業者を選びましょう:
- 実績と専門知識: キッチンリフォーム実績と経験が多い業者を選びましょう。特に、マンションでのリフォームの場合は、管理規約やマンション特有の制約に精通していることが重要です。
- 正確で丁寧な現地調査:ご満足いく提案、適正なお見積りのためには現地調査の丁寧さ(質・レベル)は言うまでもありません。現地調査の際に、どの程度細かく調査しているのかも確認すると良いです。表面だけ確認するような現地調査の業者は見積もり内容も不安が残ることが少なくありません。
- 見積もりの透明性: 見積もりの内容が明確で、詳細な内訳が記載されていることを確認します。具体的には、各工事の内容がきちんと記載されているか?まとまって「一式」という表記になっていないか?等は確認しておきましょう。不明瞭な点があれば、事前に質問し、納得できる説明を受けることが大切です。
- 口コミや評判の確認: インターネット上の口コミや評判、実際にリフォームを行った知人からの紹介なども参考にして、信頼性を確認しましょう。
契約の注意点
契約時には、以下のポイントをしっかりと確認しましょう:
- 工事範囲と費用: 契約書には、工事の範囲や内容、費用が詳細に記載されていることを確認します。また、追加工事が発生した場合の対応方法についても、事前に確認し取り決めておきましょう。
- 工期の確認:工事開始日と終了日、作業時間の確認を行い、工期が長引く場合の対応も確認しておきましょう。
- アフターサービス: 工事後の不具合に対するアフターサービスや保証内容を確認しておくことも重要です。特に浴室など水回りのリフォームでは、防水や配管の不具合が発生する可能性もゼロではありません。こういった場合の対応や保証内容をしっかり確認しましょう。
リフォームのスケジュールと期間
スムーズにリフォーム工事を進めるためには、事前の計画とスケジュール管理が重要です。一般的なスケジュールと期間について説明します。
- 工事準備(約1か月)
工事のスケジュールが確定したら、設備や資材の発注、工事開始に向けた準備を行います。マンションで管理組合からの承認が必要な場合は、承認を得てから工事を開始します。 - 工事期間(4~7日間)
工事は、既存キッチンの解体、撤去、新しいキッチンの設置という流れで進行します。工事の内容によっては、配管や電気工事、内装の仕上げなども含まれるため、工期はリフォームの規模に応じて変動します。 - 工事後の確認(1日)
工事完了後には、お客様立ち会いのもとで仕上がりの確認を行います。気になる箇所がある場合は、質問をして納得できる回答を得るようにしましょう。
工事中の生活の工夫
キッチンリフォーム中は、日常生活に支障が出ることがあります。以下のような工夫をして、工事期間中の生活をスムーズに過ごしましょう。
- 水道の使用制限の確認
水道の工事が伴う場合、特定の時間帯で使用できないことがあります。工事前にリフォーム業者から工程表を受け取り、水道が使用できない日や時間を確認しておくと良いでしょう。 - 工事中の騒音対策
工事中は騒音が発生することがあります。近隣住民への配慮として、事前に挨拶を行い、工事のスケジュールを伝えておくとトラブルの予防になります。
工事後のチェックポイント
工事が完了したら、次のポイントをチェックして、不具合がないかを確認しましょう。
- 水栓等の動作確認
水栓からの水の出方を確認します。また、特殊な機能がある水栓の場合は、正常に作動するかをチェックしましょう。 - 設備の動作確認
食洗機やコンロ、昇降棚など、設置した設備が正常に動作するか確認します。異音や不具合があれば、業者に報告し、修理を依頼します。 - 工事後の清掃状況
工事完了後は、現場が清掃されているかを確認します。万が一、汚れやゴミが残っている場合は、業者に対応を依頼しましょう。